Sweet Lover
――真朝。
  今、何処に居る?
  
  これは、俺のミスだ。
  ここに連れて来れば良かった。マスコミの前で、紹介して、煩いパパラッチにもこっちから見せ付ければよかった。
  ヘンリーの言うとおり、実家に戻って、婚約をすませておけばよかった。


溢れる後悔に、気付けば唇を噛み締めていた。

「社長、どうします?」

春花の声で我に返る。

「もちろん、決まってるだろ?」

俺は強引に口角を引き上げる。
結局、今俺に出来ることなんて少ししかない。

だったら、それを精一杯やるまでだ。


心を決めた俺は、携帯電話を電源ごと切ると、迷いを振り切って春花に指示をだした。
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