Sweet Lover
「今日は土曜日だし、マーサの家に荷物を取りに行って、それから足りないものを買いに行こうと思ってるんだけど、他に何かある?」

「いいえ、それでいいです」

手際よく食器を片付けて、出かける準備を整える。

私は駐車場に行って息を呑んだ。

だって、夕べ置いて帰ってきたはずの黒塗りの車が戻ってきてるんだもの――。

「これって」

「ああ、ほら。
朝の買い物も頼みたかったから、ついでに持ってきてもらったんだ」

「……誰、に?」

「部下に」

部下ってそんな深夜だか早朝だかにも働くものなのかしら……。
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