Sweet Lover
そうして、彼は一気に何かをまくしたてた。

私には理解できない、言語――。

「So sorry, I can't understand your language.」(悪いけど、その言葉は分からないわ)

「別にいい。
 どうせ、日本語で伝えたって、アンタとは分かり合えないよ」

言うと、彼は思い切りナイフを振りかざした。


私は目を閉じることさえ出来なくて、その刃の鈍い光と、怒り狂った男の顔を見るほかない。

寝返りを打ったら、逃げれるかしら――。

考える前に、とっさに動いていた。
ほとんど同時に、発砲音が響く。


男は慌ててナイフを振り下ろした。
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