Sweet Lover
バンっと、乱暴にドアが蹴破られた。

同時に、近くで響くザクっという耳障りな音。

「――てめぇ――」

視線の端に見えたのは、長い脚が男を蹴り倒すところ。

再び、男が私には理解不能の言語で何事かを喚きたてる。


「Increible!, y?」

一際冷たい声は、響哉さんのもの――?

男は渾身の力で立ち上がる。
そして、一層血走った目で私の方へと走ってくる。


バァンっ

乾いた音が鳴り、男がばさりと倒れた。
硝煙の匂いが鼻につく。

頭痛が走り、目が霞む。


「拉致監禁及び殺人未遂の現行犯で逮捕する」

その男の声に、聞き覚えは無かった。
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