Sweet Lover
部屋のドアは銃で壊されていた。マンションのドアそのものは、丁寧に鍵で開けられていた。

「銃も――扱うの?」

「まさか。
 焦った警察が、発砲したんだよ、これは」

涼しい顔でそう言われれば、返す言葉もない。

「ほら、軽症とは言え、首を切られたんだからあまり喋ったり動いたりするのは危険だ。
 少し黙って」

そういわれれば、黙るほか無い。

駐車場に連れて行かれて、私は戸惑ってしまう。

だって、私、ここに住んでいるのに――。

「何処に行くの?」

「これだけ、家の力を借りたんだ。向こうに戻って礼を言わなきゃ、失礼だろう?」

言うと、彼は、スカイラインに乗り込んだ。

それは、もちろん、佐伯先生の車。響哉さんの車はBMWだもの。
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