Sweet Lover
「社長。
 そろそろ」

春花の言葉に瞳を開く。
車はレストランに着くところだった。

鏡を覗いて髪を整える。

「本当にいいんですか?
 佐伯先輩からスケジュールを動かしてくれれば、自分が動くと電話があったんですが――」

ずきりと心臓に痛みが走る。

頼太がそこまで言うなんて、ただごとではない。


けれど――

「いい。
 これが終わったら俺が出向く。
 そう伝えておいてくれる?」

「じゃあ、せめて車を運転させてくれませんか?」

自分だって毎日忙しくて疲れているだろうに、春花は真剣な顔でそう切り出した。
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