Sweet Lover
「はい、到着」

その声に我に返って顔をあげれば、――そこは、須藤家の屋敷。

「ここにいるの?」

「そう。
 ヘンリーがここに二人を連れて来てくれてる」

「――やり手ね」

「そりゃ、須藤家の執事だからね」

いや、執事としての仕事の枠を大幅に超えていると思われますが――。

「ほら、とりあえず黒幕に事態を沈静化してもらおう。
 磯部さんは、客間に居るはずだ」

言うと、監督と和やかに喋りながら、離れへと向かっていく。

私は一瞬躊躇ったけれど、結局二人を追っていくことにした。

事件の結末を、ちゃんとこの目で見ておきたいもの。
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