Sweet Lover
そんなに意味のある言葉とは思えなかったけれど、オダの白い頬に途端に朱がさした。

「ぼ……僕は別に、そういう意味で須藤さんのことを好きだと言ってるわけではありませんっ」

一際、攻撃的にそう捲くし立てる。

先生は、ゆっくりと瞳を眇めた。

「別に、どういう意味でも構いはしないさ。
 ただ、自分の想いを昇華したいがために、他人に迷惑をかけるのはとんでもない話だろ?
 例えば、――須藤の車をつけまわしてみたり、そこの著名な監督を巻き込んでみたり――。
 お前の行為が、日本のマスコミの品位を下げることになりかねない」

いつの間にか、ロッキングチェアに座ってパイプをふかしているリチャードソン監督に一瞬視線を向けてから、先生が言う。
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