Sweet Lover
そういえば、お父さんは、写真で見たパパの顔に、よく似ていた。

兄弟だもの、当たり前かもしれないわ。

遠くにしかないと思い込んでいた、最後の欠片は、実は私の身近に最初から存在していたなんて――。

「ありがとう、お父さん」

「なんだ、改めて。
 照れるじゃないか」

お父さんは、顔を背けてそう言った。

「いいの、いいの。
 お腹すいちゃった。私たちも美味しい紅茶、いただかない?」

「そうだな」

私は、バージンロードを歩く花嫁のように、お父さんの腕に手をかけて庭を歩いた。
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