Sweet Lover
「あれ、キョーヤ・スドーだよね?」

「うっそ?」

なんて囁き声まで聞こえる始末。

……っていうか、どうして名前まで知られてるわけ?
しかも、須藤響哉、ではなく、キョーヤ・スドーってどういうことかしら……


私は振りほどこうとするのだけれど、力が強くて敵わない。

「ちょ、きょう……」

響哉さんは黒い瞳を心配な色で染め上げて、私を見つめている。

「勝手に居なくなったら心配するだろう? 俺以外の男に着いて行っちゃ危ないからダメってあんなに言い聞かせて育てたのに。それごと忘れちゃった?」

……な、いたいけな子供に何を吹き込んで育ててたんですかっ!

「だって、響哉さんだって電話に出てて……、私はライトが見たかったんだもん……」

「俺のせいだって言うの?」

う、そんなに怖い目で見られても困るんですけど……。
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