Sweet Lover
「そういうわけで、マーサちゃんを引き取らせて頂きます」
一方的に滑らかに喋る須藤に比べて、両親は口を開かない。
「ちょっと、お父さん?」
私は慌てて口を開く。
「……実はね、マーサちゃん。亡くなった時、真一の胸ポケットにもそういう紙が入ってたんだ」
父は綺麗に折りたたんである色の変わった紙を私の前に差し出した。
『私、花宮真一は、愛娘真朝を須藤響哉の婚約者とすることに依存はありません』
間違いなくパパの直筆で書かれたそれには、ご丁寧に日付と印鑑まで押してある。
「……な、によ、これ!
勝手すぎるにもほどがあるでしょーっ。
だいたい、何?
あなた、パパと同い年くらい? だったらもう、三十代半ばよね? 分別のあるオトナだったらこうやって旧い書類をひけらかして女子高生を脅すなんて大人気ないことなんてしないでよっ」
一方的に滑らかに喋る須藤に比べて、両親は口を開かない。
「ちょっと、お父さん?」
私は慌てて口を開く。
「……実はね、マーサちゃん。亡くなった時、真一の胸ポケットにもそういう紙が入ってたんだ」
父は綺麗に折りたたんである色の変わった紙を私の前に差し出した。
『私、花宮真一は、愛娘真朝を須藤響哉の婚約者とすることに依存はありません』
間違いなくパパの直筆で書かれたそれには、ご丁寧に日付と印鑑まで押してある。
「……な、によ、これ!
勝手すぎるにもほどがあるでしょーっ。
だいたい、何?
あなた、パパと同い年くらい? だったらもう、三十代半ばよね? 分別のあるオトナだったらこうやって旧い書類をひけらかして女子高生を脅すなんて大人気ないことなんてしないでよっ」