Sweet Lover
「目、閉じて」

……え?

息が止まりそうになって、思わず真っ直ぐに響哉さんを見つめる。

「あ、固まっちゃった。
 旧いパソコンみたいだよ、マーサちゃん。
 じゃあね、ほら、ここに座って」

響哉さんは足を広げると私を前に座らせて、背中から私に手を回してきた。

「ほら、これなら安心できる? 目を閉じて」

響哉さんの左手が、私の目を覆う。

「絶対真一が何か吹き込んだんだって。娘の恋路を邪魔するなんて酷い父親」

「パパの悪口言っちゃダメっ」

そう言ってはみたけれど、響哉さんの言い方はいかにも『パパはまだ生きていて今でも仲の良い友達だ』と感じさせてくれて、なんだか嬉しかった。

「ゴメンゴメン」

直後。


唇に、何かが、触れた。
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