Sweet Lover
自分の手の甲に、こうも真剣にキスが出来るなんて――。

響哉さんって、本当。
何者なのかしら。

私の頭の中に、昼間現れた「ファン」という女性のことが甦る。

「お休み、マーサ」

唇と手を外した響哉さんは、当然のように私を抱き寄せる。

響哉さんが背中をそうっと叩くのが、あまりにも自然だったから、本当に幼い頃からこうやって眠らされていたんだなぁ……と、微睡(まどろみ)の中でぼんやり考えながら、眠りに落ちてしまった。


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