夏に咲く桜 海に広がる静空
高校生活で見つけられなかった最後の一ピース。



今の俺は形の違う一ピースを、そのスペースに強引に埋めようとして誤魔化している。

そして、大きくため息をついてやけくそのように自分を納得させて、この思考に終止符を打つ。



そんなとき、俺はいつも決まってある場所へと行く。



今日も例外なくそこに向かおうとしたとき、校門を出て校舎を眺めた。



都会に比べれば、こんな田舎の高校の生徒数など大した数ではないのかもしれない。

それでも大勢の生徒が毎日のように通い、最後の一ピースを綺麗に埋められるように様々な日々を過ごしている。

過ごした日々が走馬灯のように甦ってくるほど今はまだ感傷的ではないが、明日の卒業式になればまた違うかもしれない。

今はまだ振り返るのは早い、そんな気がして一礼するのだけは止めた。
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