夏に咲く桜 海に広がる静空
それともう一つ。



というよりも、こちらのほうが俺としては大きい。


あいつには待っている人がいるらしい


こんな狭い町だから、ここに一人でいるところを何度も目撃されて、学校では噂にもなった。

しかし、これは噂ではなく、紛れもない事実だった。



中学三年のときに、俺は一人の女の子と出会った。

そのときに約束したのだ。



親しい友人にはこのことを打ち明けたことはあるが、みんな馬鹿げていると笑ってまともに聞いてくれなかった。



だけど



馬鹿げてても、いいじゃないか。



それに



俺自身は一度たりとも、このことを馬鹿げていると思ったことはない。



彼女は目が見えなかった。

けれども、自分の道はしっかり見えていた。

それは羨ましいくらいにはっきりと見えていて、そんな彼女が約束を放棄するとは思えなかったのだ。



自分勝手な考えであり、約束なのかもしれない。

それでも俺は信じている。

なぜなら、この夏桜の花言葉は・・・
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