夏に咲く桜 海に広がる静空
「ここ・・・こんなに綺麗だったんだ」


不意に声がして、そのほうを見ると女性にしては高い部類に入りそうな身長に、モデルのようなすらっとした細身をした女の子が立っていた。



潮風がぴたりと止み、波の音だけが響き渡り、まるで二人だけの時間を作っているようだった。


「ここの海と、それに広がる静空はいつでも最高さ」


彼女は微笑みながら俺の横に座り、目の前の景色を眺めた。



何かが変わったわけではない。



けれども、強引に埋めようとしていた最後の一ピースが、先ほどよりも力が要らなくなった気がした。


「何年生?」


突然、学年を問われたので、思わず軽く吹き出してしまった。

きっと、俺が返答したら・・・


「高三」


「そっか、私も高三」


予想通りの返答に、俺は懐かしくなった。
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