夏に咲く桜 海に広がる静空
私に声を掛けてきた時点で、彼は白杖の存在と意味に気付いているはず。
私は目が見えない
それを分かっているのに、彼は私に話し掛けてくる。
それも同情などではなく、普通に初めて知り合った同士の何気ない会話だった。
「ねえ、私、目が見ないんだよ。
それなのに何で話し掛けてくるの?」
私は捻くれ者だと、つくづく思ってしまう。
折角、相手が私に話し掛けてくれるというのに、わざわざ自分から突き放すようなことを言ってしまうのだ。
それでも、これから同情されるよりは捻くれていたほうがいいと思ったのだろう。
「そんなの関係ないじゃん。
目が見えなかったら、話し掛けちゃ駄目なのかよ」
彼は語尾に「ふん」と付け足すような言い草で言い切り、しばらく波の音だけが二人の間を駆け抜けた。
私は目が見えない
それを分かっているのに、彼は私に話し掛けてくる。
それも同情などではなく、普通に初めて知り合った同士の何気ない会話だった。
「ねえ、私、目が見ないんだよ。
それなのに何で話し掛けてくるの?」
私は捻くれ者だと、つくづく思ってしまう。
折角、相手が私に話し掛けてくれるというのに、わざわざ自分から突き放すようなことを言ってしまうのだ。
それでも、これから同情されるよりは捻くれていたほうがいいと思ったのだろう。
「そんなの関係ないじゃん。
目が見えなかったら、話し掛けちゃ駄目なのかよ」
彼は語尾に「ふん」と付け足すような言い草で言い切り、しばらく波の音だけが二人の間を駆け抜けた。