夏に咲く桜 海に広がる静空
孤独だった。



私が悪いわけではないのに、学校では邪魔物扱いされてばかり。



私は辛いと思っていないのに、大人たちからは同情されてばかり。



この目が見ないことが辛いのではなく、この孤独が私は何よりも辛かった。


「あなたの夢は何?」


あまりにも唐突に聞いたため、彼は唸っている時間が長かった。


「分からない」


「そう」


彼が必死で考えた答えを、私は即答で一蹴した。



再び、二人の間には波の音だけ。

このまま二人の会話が終わってもいいと、私は思っている。

もしくは、「分からない」と答えた彼に嫌味の一つでも言って、最悪な印象を残して去ることも有りだ。
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