夏に咲く桜 海に広がる静空
私は夢を持っている。



小学生であれば、何にも自慢にならないことだろう。

しかし、彼のように「分からない」と答えることが多い中学三年生にとっては、はっきりと言えることは立派な自慢だと私は思っている。


「私は医者になりたいの。

私と同じような子供がいたら、一人でも多くこの海を見せてあげたい」


はっきりと言ってやる。



何度でも、何度でも言ってやる。



大声で叫んでやってもいい。


(どうだ、自分の夢が分からないあなたなんかより)


あなたなんかより・・・



その先の言葉を、例え心の中でも私は使いたくなかった。

目が見えないうえに、心まで貧しくなってはいけないと思った。


「でも、無理」


右手に小石のようなものを持ち、それを正面に向かって軽く投げた。
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