砂の鎖
昼下がりの微睡
抜ける様な青空に白い綿雲がぽっかり所在無げに浮かんでいる。
バレーボールを楽しむ男子の騒がしい声が聞こえていて、陽気が良いからかチラホラと外でピクニック気分を味わう女子の姿を私は上から見下ろしていた。
昼の僅かな自由時間をみんな思い思いすごしている。
以前は麻紀と教室で過ごしていたこの時間、私は一か月前から屋上で過ごすように変わった。
ぼんやりと屋上際に立ち上がったパラペットから顔を覗かせ校庭を眺めていれば、ぱたぱたと指定のダサいスリッパの慌てた音が聞こえて、私は思わずクスリと一人頬が緩んだ。
重い金属製の扉が勢いよく開く。
「亜澄、悪い。遅くなった」
息を切らして申し訳なさそうに表れたのは真人だ。
「大丈夫」
私は、そんな真人に向かって微笑んだ。
付き合い始めてから、真人に誘われ屋上で昼休みを過ごすようになった。
屋上にはいつも誰もいない。当然、普段は鍵がかかっていて入ることができないからだ。
合鍵は、真人にもらった。
『誰にも言うなよ?』
そう言って、真人は悪戯っ子の様に笑った。
文武両道で、底辺高校とはいえ成績トップの真人。人望も、教師たちからの信頼も厚い彼はそれを利用して校内で一人になれる空間を教師からくすねとっていたのだ。
付き合い始めてから知ったのは、品行方正な優等生だと思っていた真人は意外と要領がいいということ。
バレーボールを楽しむ男子の騒がしい声が聞こえていて、陽気が良いからかチラホラと外でピクニック気分を味わう女子の姿を私は上から見下ろしていた。
昼の僅かな自由時間をみんな思い思いすごしている。
以前は麻紀と教室で過ごしていたこの時間、私は一か月前から屋上で過ごすように変わった。
ぼんやりと屋上際に立ち上がったパラペットから顔を覗かせ校庭を眺めていれば、ぱたぱたと指定のダサいスリッパの慌てた音が聞こえて、私は思わずクスリと一人頬が緩んだ。
重い金属製の扉が勢いよく開く。
「亜澄、悪い。遅くなった」
息を切らして申し訳なさそうに表れたのは真人だ。
「大丈夫」
私は、そんな真人に向かって微笑んだ。
付き合い始めてから、真人に誘われ屋上で昼休みを過ごすようになった。
屋上にはいつも誰もいない。当然、普段は鍵がかかっていて入ることができないからだ。
合鍵は、真人にもらった。
『誰にも言うなよ?』
そう言って、真人は悪戯っ子の様に笑った。
文武両道で、底辺高校とはいえ成績トップの真人。人望も、教師たちからの信頼も厚い彼はそれを利用して校内で一人になれる空間を教師からくすねとっていたのだ。
付き合い始めてから知ったのは、品行方正な優等生だと思っていた真人は意外と要領がいいということ。