砂の鎖
「夕飯作るのめんどくさいな……」
いつも、自分ひとりの為に食事を作る気にはなれない。
私は、必要に迫られて小学校に上がる頃には既に自分が食べる程度の簡単な食事は作れるようになっていた。
ママが店を始めてからは、先附やおつまみを作るのは私の仕事だった。
ママの店までは自転車で五分。
私はほぼ毎日、学校から帰ると先附とつまみと夕飯を作って店まで届けていた。
そして店が込み合いだす時間まで、私はそこで夕飯食べた。
――あずが作ったおつまみって私が作るより常連さんに評判がいいのよ。
今思えば、そんなママの言葉に載せられていた様な気がしないでもない。
それでも、全部の味付けが濃いママより私の方が料理は上手い自負はあったし、私とママの生活の為だ。
面倒だと思う時もあったけれど嫌とは言えない。
それに、誰かの為に食事を作る事が嫌いではなかった。
「なんか今日は疲れちゃったな……」
朝から変な夢を見て、真人の行動に驚かされて、残業の拓真に苛々して……
いつも通り始まったはずの今日は、妙に感情の起伏が激しかった気がする。
私は独り言をつぶやいてから、制服を着替えもせずにソファにだらしなく寝転がった。
いつも、自分ひとりの為に食事を作る気にはなれない。
私は、必要に迫られて小学校に上がる頃には既に自分が食べる程度の簡単な食事は作れるようになっていた。
ママが店を始めてからは、先附やおつまみを作るのは私の仕事だった。
ママの店までは自転車で五分。
私はほぼ毎日、学校から帰ると先附とつまみと夕飯を作って店まで届けていた。
そして店が込み合いだす時間まで、私はそこで夕飯食べた。
――あずが作ったおつまみって私が作るより常連さんに評判がいいのよ。
今思えば、そんなママの言葉に載せられていた様な気がしないでもない。
それでも、全部の味付けが濃いママより私の方が料理は上手い自負はあったし、私とママの生活の為だ。
面倒だと思う時もあったけれど嫌とは言えない。
それに、誰かの為に食事を作る事が嫌いではなかった。
「なんか今日は疲れちゃったな……」
朝から変な夢を見て、真人の行動に驚かされて、残業の拓真に苛々して……
いつも通り始まったはずの今日は、妙に感情の起伏が激しかった気がする。
私は独り言をつぶやいてから、制服を着替えもせずにソファにだらしなく寝転がった。