砂の鎖
「ああ。今日の課題を出すのを忘れていたな」
「え?」
佐伯はふと何かを思いついたようにそう言った。
私の疑問とは全く関係のない事だ。
それに今日の履修範囲の章末問題は、個人指導だったお蔭で既に終わってしまっていた筈だった。
佐伯はまっさらなプリント用紙にサラサラとボールペンで簡単な数式を書き始めた。
佐伯は教科書の様な几帳面な文字を書く人だ。
いつも板書には、色のついたチョークは使わずびっしりと白いチョークで数式を書き綴る。
けれど今日の佐伯が紙に書いた数式はとても短かった。
『3 以上の自然数 n について、Xⁿ+ Yⁿ = Zⁿ となる 0 でない自然数 (X, Y, Z) の組が存在しないことを証明せよ』
それだけを渡され、私は質問の答えを得ることはできなかった。
部活が始まる前に帰宅するようにと言われ、いつもよりも早い時間に学校から追い出されることになった。
「え?」
佐伯はふと何かを思いついたようにそう言った。
私の疑問とは全く関係のない事だ。
それに今日の履修範囲の章末問題は、個人指導だったお蔭で既に終わってしまっていた筈だった。
佐伯はまっさらなプリント用紙にサラサラとボールペンで簡単な数式を書き始めた。
佐伯は教科書の様な几帳面な文字を書く人だ。
いつも板書には、色のついたチョークは使わずびっしりと白いチョークで数式を書き綴る。
けれど今日の佐伯が紙に書いた数式はとても短かった。
『3 以上の自然数 n について、Xⁿ+ Yⁿ = Zⁿ となる 0 でない自然数 (X, Y, Z) の組が存在しないことを証明せよ』
それだけを渡され、私は質問の答えを得ることはできなかった。
部活が始まる前に帰宅するようにと言われ、いつもよりも早い時間に学校から追い出されることになった。