砂の鎖
「……全然わからない」
夕食後、私は食卓から中々離れられなかった。
私の部屋には勉強机なんていう気の利いたものは無い。
拓真がくるまで夜はいつも一人だったから自室には寝る以外の機能は無かったし、そもそも大抵は課題を図書室で終えてから帰宅する私は家であまり勉強はしない。
家では家事をしなければいけないから、勉強している暇なんてそうは無い。
「あず。何やってるの?」
「課題」
風呂から上がった拓真が棒アイスを咥えながら、物珍し気に近づいてきた。
私は言葉短に素っ気なく答える。
私は夕食後、佐伯から出された課題に向き合っていた。
先日の帰納法を使うのだろうかと試してみたけれどどうにもよく分からない。
それなら漸化式はと考えてみるが知っている例題とは全く違う。
ふと、命題の数式は三平方の定理ではないかと気が付くが、続く条件にn=3以上と書かれている。三平方の定理はnは2だ。
それでは、存在しないことを証明せよとあるが、実は存在するのではないかと、命題に疑いまで持ち始め適当に数字を入れて計算をしてみる程に訳が分からなくなってしまっていた。
夕食後、私は食卓から中々離れられなかった。
私の部屋には勉強机なんていう気の利いたものは無い。
拓真がくるまで夜はいつも一人だったから自室には寝る以外の機能は無かったし、そもそも大抵は課題を図書室で終えてから帰宅する私は家であまり勉強はしない。
家では家事をしなければいけないから、勉強している暇なんてそうは無い。
「あず。何やってるの?」
「課題」
風呂から上がった拓真が棒アイスを咥えながら、物珍し気に近づいてきた。
私は言葉短に素っ気なく答える。
私は夕食後、佐伯から出された課題に向き合っていた。
先日の帰納法を使うのだろうかと試してみたけれどどうにもよく分からない。
それなら漸化式はと考えてみるが知っている例題とは全く違う。
ふと、命題の数式は三平方の定理ではないかと気が付くが、続く条件にn=3以上と書かれている。三平方の定理はnは2だ。
それでは、存在しないことを証明せよとあるが、実は存在するのではないかと、命題に疑いまで持ち始め適当に数字を入れて計算をしてみる程に訳が分からなくなってしまっていた。