砂の鎖
「ふーん……ってえ?」

「なに?」


私の手元の大量の意味のない数式が書かれたちらしの裏を見て拓真は不可解な声をあげた。


「……これ解けって?」

「うん。簡単そうに見えるのに……」


以前の図形の問題とは違いとても単純な式なのに、糸口が掴めない。
それが更に私を苛々させていた。


「……数学って、この間の学年主任の先生?」

「うん」

「そうか……」

「……」


拓真はそう聞いてから黙り込んだ。

拓真はこの問題の答えを知っているのだろうか。
それでも、拓真に教えてもらうなんて悔しすぎる。


「あず。程ほどにしとけよ」

「あんた私のことバカだって思ってるでしょ」

「いや。あずが成績いいのは知ってるけど……」

「だったら黙ってなさいよ!」

「……」


問題が解けなくて苛立つ私は拓真に理不尽に当たって、そんな私に拓真は苦笑した。

拓真は開けていない方のミルクアイスを私に渡して、太るのにと私は文句を言って、片付けようとした拓真からそれを奪い取れば拓真は苦笑いをやめて盛大に笑った。

拓真は『さわらぬ神にたたりなし』とか言いながら自室に引っ込んでいった。
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