LOVE SICK
突然、数字に満たされていた筈の視界が暗転した。
「さ、いきさん!?」
暗転したその色は、斉木さんが纏うダークグレーのスーツの色だ。
驚いて思わずそちらを見れば、顔の真横に彼の腕。
少しでも動けば、触れてしまいそうな距離にある、彼の顔。
これは間違いなく、上司と部下の正しい距離ではない。
「お前、朝、弱いもんな。るう。」
「……っ」
ニヤリと笑いながら、わざとらしく一言一言区切って言う男が何を考えてるのかなんて……考えたくもない。
「どうした?」
声を失い下を噛む私に、分かり切ってる癖に聞いてくる男に、私は絶対に触れたくもない。
だから。
身動き一つ取れない。
胃に重い何かが落ちてくる。
微動だにせずに俯いた、私の髪に触れる男。
「最近香水変えた?シャンプー変えた?」
尚もからかう様に聞いてくる男の無神経さにじわじわと怒りがこみあげるのに、私は何も言えない。
「それとも、男?」
腹が立つ、自分に情けなくて、泣きたくなる……
「さ、いきさん!?」
暗転したその色は、斉木さんが纏うダークグレーのスーツの色だ。
驚いて思わずそちらを見れば、顔の真横に彼の腕。
少しでも動けば、触れてしまいそうな距離にある、彼の顔。
これは間違いなく、上司と部下の正しい距離ではない。
「お前、朝、弱いもんな。るう。」
「……っ」
ニヤリと笑いながら、わざとらしく一言一言区切って言う男が何を考えてるのかなんて……考えたくもない。
「どうした?」
声を失い下を噛む私に、分かり切ってる癖に聞いてくる男に、私は絶対に触れたくもない。
だから。
身動き一つ取れない。
胃に重い何かが落ちてくる。
微動だにせずに俯いた、私の髪に触れる男。
「最近香水変えた?シャンプー変えた?」
尚もからかう様に聞いてくる男の無神経さにじわじわと怒りがこみあげるのに、私は何も言えない。
「それとも、男?」
腹が立つ、自分に情けなくて、泣きたくなる……