LOVE SICK
目を向ければ見ず知らずの可愛らしい女の子だ。
小学生の低学年くらいだろうか。

ツインテールを揺らして駆ける女の子に、思わず頬が緩んだ。

そんな姿を見れば、可愛らしいと思うし、いいなとも思う。


不誠実な関係に癒しを求めている私でも、本当に欲しいのはそれじゃないんだ。
そんな、恋愛と呼べない関係を望んでいるわけじゃないんだ。

ちゃんと誰かと恋をして、向き合って、そうして結婚をして家庭を持って……

普通の、でも大切な……そんな幸せを、本当は望んでいるんだ……


「ちゃんと、しなきゃ……」


ポツリと思わず、一人小声で呟いた。

心地いいからと、彼に甘えてていい筈がない。

名前の無い関係の彼に溺れ続けていい筈がない。


責任も何も無く、ただ現実から目を逸らし……
私は、あの人の優しさに甘えているだけだ。

はっきりさせるべきなんだ。


そんな事を考えれば、少し背筋が伸びた。
少し、怖い様な気もした。


それでも彼との関係をはっきりさせる前に、私は自分の気持ちの整理をしないといけないし、それよりもまずは回り切れるか不安な取引先に一刻も早く向かわなければいけない。

気を取り直して公園を通り過ぎようとした。
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