LOVE SICK
結局は、久しぶりに三人で今の今まで騒ぎながら飲んでいた。


話題は斎木支店長による新体制の現状と今後についてというとても生真面目な問題が少々。

あとは田嶋くんのプロポーズについてがほとんどだった。
どんな風にプロポーズをしようと考える田嶋くんにアドバイスする斎木さんが……

もう、なんていうか……あまりにもロマンチックで女性が喜びそうな事を的確に考えるから、正直私はドン引きだったけど……

それでもその雰囲気は斎木さんと付き合う前に戻ったみたいで少し……まあ……楽しかったは楽しかったけど……


「あ、メール来た。俺、今晩は彼女に会いに行きたいんでお先に失礼していいですか?」


宴もたけなわといったところで田嶋くんは震えた携帯電話を確認してそう言いだした。

田嶋くんは今日記念日か何かだろうか。
はっきりとは言わなかったけれど居酒屋に入る前に駅前でバラのミニブーケを買っていた。

意外とロマンチスト。
はっきりしない田嶋くんに私は時々苛々してしまうけど、田嶋くんは優しいし、彼女はなんだかんだ言って幸せだろうな。
そう思うと少し頬が緩んだ。


「バーカ。いらねーよ。それよりプロポーズが上手くいったら奢れよ?」


財布から札を何枚か出そうとする田嶋くんに斎木さんは笑いながらそう言って。


「本当ですか!? 斎木さんありがとうございます!」

「俺らも出るからさっさと駅迎え」


そんな、お決まりのやり取りを斎木さんと交わした田嶋くんを見送った。

奢ってもらえると思ってたくせにね。
こういうとこほんと女子力高いよね、田嶋くん。
田嶋くんはとっても人好きする人だと思う。


そして田嶋くんに比べ要領の悪い私は『では私も失礼します』とは言いだせず……
そうは言ってもすぐに会計を済まして斎木さんと一緒に店を出たのだけれど……
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