LOVE SICK
「そんな年上ぶってズルいです! 今日は私の謝罪なんだから、沢山飲んでくださいよ」

「はいはい」


そう言って煽れば文句も言わずに私が酌をする酒に口をつける。


今日は元々苛々していて飲みたい気分だった。
そんな所に付き合ってくれたのは思いのほか優しくいつも見惚れていた素敵な大人の男性。

目的は謝罪の為だったのだから初めは少し緊張気味だったその状況に、いつのまにか楽しくなってきてしまい、ついつい進んだアルコールの力で頭はフワフワとする。


「優しそうですよね……」

「何その優しそうって。優しくしてるつもりなんだけど?」


そう言って少し戯けて笑う瞳は、なんだか色っぽい。

元々、外見はかっこいいと思っていた。外見だけでなく思いの外、内面も素敵な人の様だ。


「ん……。前から優しそうな人だなって思ってたんです」

「……」


じっと私の瞳を覗きこむ人。
そのブラウンの輝きは、朝とは違って少しだけ妖艶さが滲む。

大人の色気ってヤツだろうか。
同年代の男性とは違う、落ち着いた魅力を感じる。

この人は、相当いい男だ。


けれどそれより何より、やっぱり、あの柔らかそうな前髪に触ってみたいな、なんて。
トンチンカンな事ばかり頭をよぎる私は、実のところ相当酔っ払ってるのだろうか。
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