LOVE SICK
けれどこれで終わる訳にはいかない。
臨戦体制を整えていつものカフェに向かう。


いつもよりも少しだけ早い時間。
いつも通りにブレンドを頼み、それでも、いつも通りに可愛く挨拶をしてくれるバイトの女の子の目が、今日は見れないなんて……
私は頭悪いんだろうか……

そうしていつもより少し乱暴に灰皿とクリープを掴んで気合いをいれて喫煙席に向かいその人の姿を探す。


それなのに……


(……いない?)


いつもと変わらない狭い店内に、いつものダークブラウンの髪が見当たらない。


……嘘。なんで。
逃げられた?


メールを返さなくてもどうせまた朝会うだろうと思ってた。
その時に言いたい事を言えばいいと思ってた。


それなのに……


……けれど、分からないでもない。

確かに、向こうにとっても気まずいだろう。
……私だって、気まずい。

このカフェは駅から近くて便利だけど、気まずい思いをしてまで固執することはない。

でも今日だけは、気まずいけど、こうして会いに来たのに……
このままにしたく無いのに……
< 38 / 233 >

この作品をシェア

pagetop