LOVE SICK
一服を終え、クリーム色のコーヒーをゆっくりと味わって。
カフェインが体を満たした頃に、時計を見る。

見なくてもコーヒーの冷め具合と吸い終わった一本の煙草で時間の経過は大体分かる。
なんとなく、ここを出る時間だなんて事は想像はついていた。


(のんびりし過ぎた、かも)


いつもと同じように時間を過ごしたつもりで、それでもいつもより少しだけ、時計を見る時間が遅かった。

間違い無く、隣の席の彼を意識した所為だ。

少しだけ急ぎつつも口角が自然と上がった。


(今日の一日の始まりは完璧だ)


朝の占いで一位だった時の気分の良さに似ている。


私も別に子供じゃないし、彼に恋をしてる訳ではない。
ただ、毎朝の目の保養に勝手にさせてもらってるだけだ。


(ありがとうございました)


だからお近づきになろうなんて思ったことは一度だって無い。
いつも通りこっそりと心の中だけで、気分良く一日のスタートをさせてくれた彼にお礼を言うと席を立とうとした。
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