LOVE SICK
「支店長。名前で呼ぶの辞めて下さい」
無視するのを諦めて振り向けば、思いの外近すぎる距離にいたその人に驚かされた。
「二人しか居ないだろ?」
そう言って斎木さんは私の背後から私の両サイドのデスクに手をついた。
まるで私の自由を奪うかの様に。
「関係、ありません」
ただの上司と部下の関係ならあり得ない近い距離。
それに動じることなく努めて毅然とした態度で応じようとした筈なのに、少しだけ、声が震えた。
昼過ぎの社内。フロアには、珍しく他の人が誰もいない。
いや。珍しく私がいる、が正解だ。
営業は今日は私以外全員外回りだ。スタッフの面談も今日は無いらしい。
元からここは営業が主に使っているフロアだから、昼間は閑散としている事が多い。
今日私は顧客企業の担当者が打合せにこちらに来てくれる事になっていた。
普段なら私が訪問するのが礼儀だけれど、たまたま担当者がこの近くに来る仕事があるとかで、時間の短縮に寄って行きたいと言ってくれた。
だから珍しく、昼間なのに私はオフィスに残っていた。
無視するのを諦めて振り向けば、思いの外近すぎる距離にいたその人に驚かされた。
「二人しか居ないだろ?」
そう言って斎木さんは私の背後から私の両サイドのデスクに手をついた。
まるで私の自由を奪うかの様に。
「関係、ありません」
ただの上司と部下の関係ならあり得ない近い距離。
それに動じることなく努めて毅然とした態度で応じようとした筈なのに、少しだけ、声が震えた。
昼過ぎの社内。フロアには、珍しく他の人が誰もいない。
いや。珍しく私がいる、が正解だ。
営業は今日は私以外全員外回りだ。スタッフの面談も今日は無いらしい。
元からここは営業が主に使っているフロアだから、昼間は閑散としている事が多い。
今日私は顧客企業の担当者が打合せにこちらに来てくれる事になっていた。
普段なら私が訪問するのが礼儀だけれど、たまたま担当者がこの近くに来る仕事があるとかで、時間の短縮に寄って行きたいと言ってくれた。
だから珍しく、昼間なのに私はオフィスに残っていた。