LOVE SICK
斎木さんと知り合ったのは、以前の会社に務めている時。
斎木さんは前職の会社に出入りしている営業だった。
直接かかわる事は無かったけれどお互いに顔を見れば挨拶をする様になって。
彼が人材派遣会社の営業の「斎木さん」という人で。
私が営業をしている新人の「川井さん」だという事は分かっていた。
お互いにその程度の認識で、その当時個人的に話をしたことは無いし、ましてや個人的な思い入れなんて生まれるはずもない関係だった。
それなのに、私が体調を崩して退職を決意した頃に突然言われたんだ。
『今の仕事合ってないんじゃない?』
確か、偶然に一緒になったエレベーターとかだったと思う。
斎木さんは人事担当者との面談を終えたところだったんじゃないだろうか。
本当になんの脈絡も無く。
突然。
『前から川井さんはよく動くし、感じいいなと思ってたんだ』
同じ様に働いている他の同僚達ができているのにどうして私はできないのだろう、なんて情けないんだろう……
そう自己嫌悪に陥って、挫折感を味わっていた時に言われた言葉。
『それなのに、そんな辛そうに働いてるのはもったいないよ』
あの時確かに斎木さんの言葉に救い上げられた。
『人を見る目には自信があるんだ』
そう言って笑ってくれた彼に、涙が出るかと思ったんだ。
『俺の方が川井さんを生かせるよ。うちに来いよ』
真に受けた私はバカだったのかもしれない。
ただその頃はもう、辞める事は決めていたから。
失う物は何も無かったから。
だから私は、そのまま斎木さんの提案に甘えて今の会社に転職をした。
斎木さんは前職の会社に出入りしている営業だった。
直接かかわる事は無かったけれどお互いに顔を見れば挨拶をする様になって。
彼が人材派遣会社の営業の「斎木さん」という人で。
私が営業をしている新人の「川井さん」だという事は分かっていた。
お互いにその程度の認識で、その当時個人的に話をしたことは無いし、ましてや個人的な思い入れなんて生まれるはずもない関係だった。
それなのに、私が体調を崩して退職を決意した頃に突然言われたんだ。
『今の仕事合ってないんじゃない?』
確か、偶然に一緒になったエレベーターとかだったと思う。
斎木さんは人事担当者との面談を終えたところだったんじゃないだろうか。
本当になんの脈絡も無く。
突然。
『前から川井さんはよく動くし、感じいいなと思ってたんだ』
同じ様に働いている他の同僚達ができているのにどうして私はできないのだろう、なんて情けないんだろう……
そう自己嫌悪に陥って、挫折感を味わっていた時に言われた言葉。
『それなのに、そんな辛そうに働いてるのはもったいないよ』
あの時確かに斎木さんの言葉に救い上げられた。
『人を見る目には自信があるんだ』
そう言って笑ってくれた彼に、涙が出るかと思ったんだ。
『俺の方が川井さんを生かせるよ。うちに来いよ』
真に受けた私はバカだったのかもしれない。
ただその頃はもう、辞める事は決めていたから。
失う物は何も無かったから。
だから私は、そのまま斎木さんの提案に甘えて今の会社に転職をした。