LOVE SICK
今考えてもあの選択が間違っていたとは思わない。
今の会社もキツイけど、嫌な時は勿論あるけれど。

それでも以前に比べればずっと恵まれている。


……私が間違った選択をしたのはその後だ。


『帰したくないな……』


仕事が遅くなると、車通勤の斉木さんが家まで車で送ってくれる事はよくあった。
そんな車内で、突然キスをされて、そんな事を囁かれた。

私は自分を救ってくれた斎木さんに逆らうなんて出来なかった。


違う。


その言葉に、舞い上がったんだ。
私は斎木さんから告げられるより先に、彼を特別な人だと想っていたから……


彼が、好きだったから。

だからあの時、彼を拒否をするなんて選択は一切思い付かなかった。

けれどそれが、今思えば間違った選択だったんだと思う。

私が堕ちるのはあっという間だった。
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