LOVE SICK
思わず溜め息交じりに呆れた視線を支店長に投げかけてしまう。

……何故か不満気な顔をしている支店長のお相手は盛り上がってる山内さんんお任せしよう。
私は片付けをする為に二人から離れて打合わせ室に戻ったところで、携帯が震えた。



――――――――――
from:柏原 祐
title:no title

お疲れ様。
今晩どう?

柏原 祐
――――――――――



絶対、祐さんは面白がってる。

意外なほど笑い上戸なこの人は、書類をぶちまけた私を思い出して、端正な顔を崩して笑ってるに違いない。
きっと、このメールがこんなにもあっさりしているのは、公衆の面前で笑いを耐えながら作成したメールだからだ。

文句を言わないといけない。

行きます、とだけ返信をして。


なんだか妙な誤解をしてる山内さんと談笑をしている支店長の横を通り過ぎ、フロアを上がろうとした。


祐さんが、近くで働いてるのは分かってた。
法人営業をしているんだから、顧客の一人かもしれないなんて、もっと早く思い至っても良かった。

それでもこんな偶然がまさかあるなんて……


(やりにくすぎる……)
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