LOVE SICK
「るう。泣き過ぎ……」

「だって……」


休みの日は約束をする日もあったし、しない日もあった。

お互いに予定が合わなければ会わないし。
別にこれといった予定が無くても、気分じゃなかったり疲れていたりすれば会わない時もあった。

断ったからと言って、祐さんは何の予定があるのかなんて聞いては来ないし、私も聞かない。
そういう時に理由を言わなくてもいいのは恋人ではないからこそ楽な部分なんだろうと思っていた。


「そんなに良かった? 今の映画」

「祐さんは良くなかったんですか?」


昨日はあのまま祐さんの部屋に泊まり、午前中をゆっくり過ごすと午後からはの約束通り、映画を見にでかけた。

久しぶりに見た映画。余りにも切ないラストに私は涙が止まらなくなってしまい……
放心していた私は祐さんに腕を引っ張られて外に出た。映画館を出てからもまだ感涙していた。

それなのに、祐さんが普通の顔をしているのが悔しくて涙目のまま理不尽な抗議の声をあげれば、少し困った様な顔で腕を引かれた。


「そうじゃないけどさ……俺が泣かしたみたいだから泣き止んでよ……」

「うう……ちょっと、無理……」


反対の手は優しく頭を撫でてくれる。
そんな事をされたら、止まる涙だって止まらない。
抱きしめられる様なそんな体勢に、その体温に、いつの間にか特に違和感も感じなくなってしまっていた。
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