桜吹雪~運命~
序章
あなたは、自分の名前は好きですか?
その由来を、聞いたことはありますか?
「行ってきます!」
毎年、4月1日。
高校2年生のあたし、
野桜小町(のざくら・こまち)はいつもの場所へ向かう。
ん?待てよ。
高校2年生って表現は可笑しいかな?
まだ始業式はしていないし。
1年生になるのかな?
…細かい所は置いておいて。
ところでどう思う?
あたしの名前。
野桜小町…いかにも和風な名前。
そして、大和撫子を想像させそうでしょ?
あたしも、名前自体は好きなの。
…名前自体はね。
でも、あたし自身は、大和撫子とはかけ離れている。
生まれつき茶色い、肩までの髪。
目は一重で、目つきは悪い方。
視力はそこまで悪くないんだけどね。
認めたくないけど、太めのバディ。
150ぐらいしかない、チビな身長。
…美しく、着物が似合いそうな大和撫子とは、北海道と沖縄ぐらい離れている。