桜吹雪~運命~
「…おや、小町さん」
いつもに増して、冷たい声。
「王司さん、お久しぶりです」
「どうも。
何の御用ですか?」
「遠矢くんに会いに来ました」
「その名で呼ぶのはお止めいただけませんか」
「王政様とは呼べないよ。
だってあたしの中で、遠矢くんは遠矢くん。
王政様じゃないもん」
「…おい」
王司さんが門に向かって話す。
すると、その門が大きな音を立てて開き始める。
中には、この間見た、腰に刀を忍ばせた男たち。
あたしたちを見た途端、スッと刀を出した。
…うーん、危険な展開だなぁ。
何であたし、こんなに落ち着ているんだろうか?
「小町さん。
後ろの方は、どちら様ですか?」
「ばぁちゃんと紅葉さんのこと?」
「紅葉…?」
クイッと小さく王司さんが首を傾げる。
顔はイケメンなのに、意外にも可愛い仕草じゃないの。