桜吹雪~運命~








「ばぁちゃん、紅葉さん。
王司さんのこと知っているの?」




説明してくれたのは、ばぁちゃんだ。




「三神村を出る前、わしたちはこの村で若者に刀使いを教えていたんじゃよ。
上ノ宮王司は、その中でも優秀な剣士じゃった」




まさか接点があったなんて…。



王司さんを見ると。

…王司さんは悔しそうに唇を噛んでいた。






「優秀なんかじゃありませんよ、俺は。
いつもいつも…アイツに抜かされて……。
アイツに勝ちたいから、俺は梅子さんと紅葉さんの所に習いに行っていたのに。
アイツは、普段遊びほうけている癖に、いつも俺より上を行く。
父上も、母上も、兄上も、皆…アイツの味方する……ッ」




アイツ…?




「アイツって、誰ですか?」




気になり、思わず聞いてしまった。




「……アイツはいつも、俺の上を行く。
俺の方が、父上の本当の息子だし、年上だ。
……それなのに…それなのにっ………!!」







…もしかして、

遠矢くん………?







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