桜吹雪~運命~







「え?
こ、小町さん…?」



隣から遠矢くんの驚いた声がするけど、無視。




「あんたたち、遠矢くんから聞いたよ。
三神家の実の息子たちなんだってね。

確かに、遠矢くんの言うことに反対する気持ちもわかるよ。
だって、あんたたちにとって、殺しは当たり前だもんね。

でもそれって、自分たちしか考えていないじゃん。
自分たちの当たり前がなくなるから、反対しているんでしょ。

あんたたち、知らないでしょ。
目の前で大事な人たちが死んだ気持ちなんて」




―――『小町!』

脳内に、ルカの笑顔が浮かぶ。





「あたしは知っているよ。
とてつもなく苦しくて、言葉に出来ないほど哀しいの。
何で助けられなかったんだろう、何でもっと沢山話さなかったんだろうって、今でも後悔している。

遠矢くんは、自分が殺されかけたんだよ。
だから、殺される人の気持ちがわかる。

あんたたちは大事な人たちが殺されたことないから、家を潰すなって言えるんだよ。
大事な人たちを失った哀しみや苦しみ、絶望感がわからないから、そうやって軽々と遠矢くんを殺せとか言えるんだよ。


その上あんたたち、良い着物とか着ているじゃない?
それって、あたしがいた村と違って、お金持ちって証拠でしょ。

三神家を失えば、あんたたちはお金持ちじゃなくなるもんね。
今までお金持ち生活してきた人って、お金がなくなったなんて考えないもんね。

働いたことある?
美味しいおにぎり、外で食べたことある?
腰が痛くなるまで働いたことある?
家族揃って夕ご飯とか、したことある?

人が亡くなった時の遺族の苦しみ、味わったことある?」





4兄弟は何も言えず黙り込んでいた。







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