桜吹雪~運命~







「あたしはね、この先の未来から来たの」

「…ミライ?」

「明日とか明後日よりも、ずっと遠い世界から来たの」

「……」

「あたし、いつかは帰らないといけない。
だから、遠矢くんの妻にはなれない」

「……ッ」




ギュッと、あたしを抱きしめる遠矢くん。

恥ずかしいけど、今は哀しい気持ちでいっぱい。





「…僕じゃ、駄目ですか」

「あたしだって、願うなら遠矢くんと一緒にいたい。
でも、あたしは…今の時代の人じゃない。
帰らないといけないの、あたしが居るべき本来の時代へ」

「梅子さんや、紅葉さんは…」

「…ばぁちゃんもね、本当はあたしのひいひいばぁちゃんなの」

「ひいひいばぁちゃん?」

「自分の祖母の祖母ってこと」

「……ッ」

「だから、遠矢くんが不老不死じゃない限り、あたしに会えない」




抱きしめる力が強くなる。

あたしも、願うのなら離れたくない。




でも…

あたしは、帰り方を見つけたら、いずれ帰らないといけない。

いつになるかはわからないけど。





< 124 / 137 >

この作品をシェア

pagetop