桜吹雪~運命~
「あたしはね、この先の未来から来たの」
「…ミライ?」
「明日とか明後日よりも、ずっと遠い世界から来たの」
「……」
「あたし、いつかは帰らないといけない。
だから、遠矢くんの妻にはなれない」
「……ッ」
ギュッと、あたしを抱きしめる遠矢くん。
恥ずかしいけど、今は哀しい気持ちでいっぱい。
「…僕じゃ、駄目ですか」
「あたしだって、願うなら遠矢くんと一緒にいたい。
でも、あたしは…今の時代の人じゃない。
帰らないといけないの、あたしが居るべき本来の時代へ」
「梅子さんや、紅葉さんは…」
「…ばぁちゃんもね、本当はあたしのひいひいばぁちゃんなの」
「ひいひいばぁちゃん?」
「自分の祖母の祖母ってこと」
「……ッ」
「だから、遠矢くんが不老不死じゃない限り、あたしに会えない」
抱きしめる力が強くなる。
あたしも、願うのなら離れたくない。
でも…
あたしは、帰り方を見つけたら、いずれ帰らないといけない。
いつになるかはわからないけど。