桜吹雪~運命~
「帰り方は…わからない。
だから、死ぬまでこの時代にいるかもしれない。
でも、遠矢くんの妻にはなれない。
遠矢くんには、本来のこの時代の人を、妻として迎えてほしい」
どこから来たのかわからないあたしじゃなくて。
ちゃんと、遠矢くんに相応しい、人と出会ってほしい。
「もしあたしが消えたとしても、遠矢くんを好きでいる。
遠矢くんのこと…忘れないから」
「……」
「遠矢くんの桜のような笑顔が消えないよう、あたしはいつまでも願っているから」
遠矢くんは、あたしを抱きしめる手を離した。
そして、ベッドから降りる。
部屋の中にあるタンスらしきものを開け、何か探していた。
戻ってきた遠矢くんは、あたしの目の前に、ソレを出した。
「…綺麗……」
それは、
淡いピンク色をした桜の花びら。
本物ではなくガラス細工みたいだけど、綺麗に輝いていた。
「この家に戻ってきた時、小町さんを思い出して作ったんです」
「…遠矢……くん………ッ」
「持って行って、、もらえますか」
「…良いの……?」