桜吹雪~運命~
「あなたは?」
「あ、秋桜小町、です」
「へぇ。
良い名前ですね」
ニッコリと、遠矢くんは笑う。
…桜のような、綺麗な笑顔で。
「てか、小町ですか…」
「え?」
「僕、昔ここで女の子に会ったんです。
その子の名前も、小町です」
昔、女の子に会った…?
「その子、迷子だったみたいで。
僕もその時この桜広場にいて。
泣いていたその子に、思わず声をかけたんです。
その子を笑顔にさせるため、僕は“桜の精”だと名乗ってね。
そういえば、あの日も4月1日だったな―――」
桜の木を眺めながら言う美神遠矢くん。
4月1日。
泣いていた、迷子の女の子。
男の子は、桜の精と名乗った……。
こんな偶然…
あり得るの……?