桜吹雪~運命~
「それってもしかして…10年前ですか?」
「え?
な、何でご存知なんですか?」
10年前…。
あたしが、初恋の男の子と会った日……。
「…あたしも、同じ体験を、しました。
10年前の4月1日、あたしは家族とはぐれて、迷子になって、この桜の下で泣いていました。
その時出会った男の子が…自分は桜の精だと名乗りました……」
「………」
「………」
あたしたちは無言で、見つめ合う。
「…久しぶり」
「信じてくれるんですか?」
遠矢くんの発言に、あたしは驚く。
「うん。
だって僕、このこと誰にも言ったことないし。
知っているのは、あの日出会った女の子だけだよ」
「あたしも誰にも言っていません」
あたしは、息を吸い込む。
「…好きです。
あの日から…ずっと……」