桜吹雪~運命~
これは、運命なのかな?
名前も知らない“桜の精”に、恋をした。
タイムスリップをした。
ばぁちゃんと紅葉さんに会った。
遠矢くんに会った。
遠矢くんのことが好きになった。
ばぁちゃんと紅葉さんが、桜に宿る神様だと知った。
…遠矢くんに似ている、初恋の男の子に出会った。
奇跡のような体験を、
あたしはいつまでも、
忘れないだろう―――。
「行こうか、小町」
「うん!」
手を繋ぎ、あたしたちは桜広場を駆け下りる。
あたしの胸には、綺麗な桜のガラス細工が煌めいていた。
名前に負けない、生き方をしよう。
秋桜小町の名に相応しい、綺麗な美しい道を歩こう。
今なら、お父さんに感謝できる。
笑顔のあたしたちを、
桜が優しく、見守っていた。
【END】