桜吹雪~運命~
「ところでばぁちゃん、隣村から逃げてきたって何?」
夜。
あたしはばぁちゃんがこしらえた料理を食べていた。
ばぁちゃんの作る野菜雑炊は美味しい。
野菜は基本苦手なあたしだけど、スルスルいけた。
「あぁ。
隣村の、三神(みかみ)村じゃろ」
「三神村…?」
強そうな名前。
「三神村は昔っからな、三神家っていう金持ちの家が仕切っているんじゃけど。
その三神村が困った奴らでな…」
「困った奴ら?」
「三神家に逆らった者、三神村から出て行こうとする奴を、片っ端から殺すんじゃ」
「ころっ…!?
そんなこと、許されるの?」
「三神家は偉いからなァ。
どこに家も、三神家には逆らえん。
三神家に近づくにも、強い男共をやっつけないと近づけんし」
セキュリティってわけね?
「三神家は元々、三神家に逆らった奴や三神村を出て行こうとした者を殺していたんだがなァ。
最近99代目三神王政(おうせい)は、気に入らない人は片っ端から殺しておる」
「三神王政…?」
「三神家の99代目ご当主様よ。
襲名と言うやつでな、当主になる者は、名を捨て三神王政を名乗るんじゃよ。
98代目までは、触れなければ何もなかったんだがなー。
99代目は、人の哀しみを見るのが好きらしくてのォ。
税金は上げるわ、人は殺すわ…。
だから、三神家の監視の目が薄い時に、村を抜け出して生きる人もおるのよ」
そりゃ逃げたくもなるわなァ。