桜吹雪~運命~
「ちなみにこの海鳴村も、逃げてきた人たちによって作られた村じゃ」
三神村から逃げてきた人…?
「もしかして、ばぁちゃんもそうなの?」
「あぁ。
わしは誰も殺されなかったが、わしの知り合いがの。
三神家に、何の罪もない息子を殺されたんじゃよ。
わしはそいつと一緒に、逃げることにした。
三神村から海鳴村へ行くための山道で、同じく逃げてきた奴らと出会って、この海鳴村に住んでおるんよ」
何の罪もない身内が殺される。
あたしは体感したことないけど、きっと物凄く辛いことなんだろう。
だって、罪がないんだから。
「どうして海鳴村なの?」
「村長の名前が海鳴じゃから」
結構テキトーに村名つけたんだ…。
三神村も、豪いのは三神家だし。
「そうじゃ小町。
ただで住ませておくわけにはいかん」
「え?」
「明日からおめーさんは働け」
「働く?」
自慢じゃないけどあたし、バイトしていないよ。
バイトオッケーの高校だけど。
「心配することはない。
わしの畑を手伝ってもらうだけじゃから」
「なら簡単だね」
あたしは後先考えず、軽く言った。
「ほれ、もう寝ろ」
「うん。おやすみ」
お風呂なんてモノはなくて。
でも、色々あって疲れたから。
あたしはすぐに眠れた。