桜吹雪~運命~
「…傷とか、痛むんですか?」
「……いや、特に」
「そうですか…」
よく響く、綺麗な低い声。
…てか、無愛想なのか?
「あ、包帯変えますね」
あたしはばぁちゃんたちが忘れて行った、包帯を手に取った。
お医者さんが持ってきたんだけど、お医者さん不器用らしくて。
あたしたちに任せて帰ってしまった。
「失礼します」
こう言うあたしだけど、本当は包帯なんて巻いたことない。
不器用だと周りから言われるからな…。
…うん、やってみなくちゃ。
あたしは布団を捲る。
…我ながらダイタンッ!
すると。
布団を掴んだ手を、やんわり掴まれた。
えっ?
何で…手、掴んでいるわけェ!?
驚くあたしは、ロボットのようなぎこちない動きで、彼を見た。