桜吹雪~運命~
彼は、綺麗な黒目をあたしに向けていた。
…真っ直ぐ、ただ真っ直ぐ。
「…あの?」
「僕がやります」
「…はい?」
「あなたのような方に、やらせるわけにはいきません。
僕がやります」
…ジェントルマン!?
何この神対応!
ここはイギリスか何かですか!?
何?
『あなたのような方に、やらせるわけにはいきません』?
…こんなクサい台詞、言う人いるんだ……。
「そんなっ…。
良いですよ、あたしやります」
「…そうですか?」
「はい」
「……では、お願いします」
ほんのり頬を赤く染める彼。
…可愛いのか無愛想なのか紳士なのか、どれかにしてほしい。
あたしはドキドキしながら、彼の右膝に乱暴に巻かれた包帯を解き始める。