桜吹雪~運命~
「……ッ」
「…だから、言ったではないですか」
少し哀しそうな声の彼。
あたしは何も出来なかった。
包帯で隠されていた、彼の傷。
それは言葉では表現できないほど、残酷で深い傷だった。
他の切り傷とは、比べ物にならない。
何でここだけこんなに酷いのって、問い詰めたくなるほど。
あたし、血が大丈夫で良かった。
もし駄目なら、倒れていたもの…。
「ごめんなさい。
あなたのような方に見せてしまって。
…やはり、僕がやります」
あなたのような方って言われるほど、あたしは綺麗じゃない。
綺麗な人は、アンナコトしない…。
「…大丈夫ですか」
あたしが色々思い出している間に、彼は包帯を巻き終えていた。
綺麗な包帯の巻き方に、思わず見とれる。
「…どうされました?」
「あ、気にしないでください」
あたしが顔をそらすと、彼はニコッと笑った。