桜吹雪~運命~






その笑みは、凄く優しくて。

あたしの心を洗い流してくれそうだった。




「ところで」

「はいっ」

「助けていただき、ありがとうございました。
あなたが、この家の家主さんですか?」

「あ、いえ。
ここはあたしのひい…じゃなかった、ばぁちゃんの家です」



現代のあたしにとってばぁちゃんはひいひいばあちゃんだけど、今の時代は違うんだ。




「お祖母様の家でしたか」

「はい」

「今、お祖母様はどちらへ?」

「今田んぼ仕事しています。
あたしも普段はしているんですけど、今日はもうお休みです」

「そうなんですか?」

「あなたがいますから。
目の前で倒れたあなたを放ってはおけません」

「お見苦しい所を何度もお見せして申し訳ありません」



本当に申し訳なさそうに謝る彼。

律儀な彼に、あたしは再びドキッとした。



「あの、何で倒れたんですか?」



なんとなく、傷の話に触れてはいけない気がして。

あたしは倒れた理由だけ聞いた。




「お恥ずかしい話なのですが…」



今度は顔を赤くする彼。

コロコロ表情が変わって、面白い。






< 27 / 137 >

この作品をシェア

pagetop