桜吹雪~運命~
その笑みは、凄く優しくて。
あたしの心を洗い流してくれそうだった。
「ところで」
「はいっ」
「助けていただき、ありがとうございました。
あなたが、この家の家主さんですか?」
「あ、いえ。
ここはあたしのひい…じゃなかった、ばぁちゃんの家です」
現代のあたしにとってばぁちゃんはひいひいばあちゃんだけど、今の時代は違うんだ。
「お祖母様の家でしたか」
「はい」
「今、お祖母様はどちらへ?」
「今田んぼ仕事しています。
あたしも普段はしているんですけど、今日はもうお休みです」
「そうなんですか?」
「あなたがいますから。
目の前で倒れたあなたを放ってはおけません」
「お見苦しい所を何度もお見せして申し訳ありません」
本当に申し訳なさそうに謝る彼。
律儀な彼に、あたしは再びドキッとした。
「あの、何で倒れたんですか?」
なんとなく、傷の話に触れてはいけない気がして。
あたしは倒れた理由だけ聞いた。
「お恥ずかしい話なのですが…」
今度は顔を赤くする彼。
コロコロ表情が変わって、面白い。